ルーテル学院大学に新たに福祉学科を設けることにより手狭になったことから新校舎の建設が計画されました。食堂の改修設計の実績から、設計コンペの募集要項作成を依頼され、既存キャンパス計画の経緯や建築家・村野藤吾氏のデザインや当時の設計趣旨としてまとめられた「神の民の家」の小冊子の存在を知り、それも含めた設計条件を作成したところ、新校舎の設計者として当方が設計指名を受けました。設計にあたり、利用者参加のデザインプロセスを提案し、学生参加のワークショップを実施すると共に、先生方で構成される新校舎設計準備委員会と何度もの意見交換を行いました。この中で、ラウンジなどのゆとり空間の必要性、木質を活かしたデザイン、曲線美、十字架のシンボル性、バリアフリーデザイン、等が求められました。

配置計画としては、南側のICUの緑を借景とすることと共に既存キャンパスの間に中庭プラザができることからキャンパス南側に配置することになりました。

建物の全体構成としては、1階に多目的スペースを設け、ウッドデッキと繋げ、様々な使われ方ができるよう配慮しました。教室や会議室は南側に配置しました。2階には大教室を設け、ルーフデッキと繋げて使えるようにしました。十字架はメインンセプトであり、全体の諸室構成においてもトップライトの配置や廊下の配置、各建具のデザインに至るまでデザインの手掛かりに十字架を意識しました。村野藤吾氏の既存キャンパスデザインの継承として、台形の安定した断面デザインや地窓や庇の深い窓廻りのインテリアや外観デザインに活かしました。省エネへの配慮としてトップライトの自然採光を取り入れると共に貯留した雨水をトップライトに流すという水冷システムを採用しました。これにより夏場の冷房負荷を下げると共に、水のゆらぎ感を楽しむことができます。

 

所在地:東京都三鷹市
構造階数:RC造、地上2階建
敷地面積:1956.56㎡
延床面積:1820.68㎡
建築面積:1076.13㎡
最高高さ:10m
設計(建築):(有)連健夫建築研究室一級建築士事務所
設計(構造):ストラクチャード・エンヴァイロンメント
設計(設備):島津設計、近藤建築工房
施工:鹿島建設(株)
竣工:2005年12月